冷静な対応って一体・・・2009/05/03 17:08

連日の報道を見たり聞いたりして、思うところを書きます。

長文です。


新型インフルエンザが発生してからメディアを通じて毎日のように聞かれる、

「冷静な対応を」という言葉。

どうもこの言葉、その意味が軽視されて無責任に発せられているように思う。

経済への影響はもちろん配慮しなければならないだろうが、

今、最優先するべきことは、感染を拡大させないこと。

日本国内に限らず、全世界的に。

我々一般市民が一個人としてできることは、冷静に考えれば、

 1.人混みに行かない。
 2.ウイルスを運ばない。

この2点に絞られるでしょうか。

「ウイルスに感染すること」と「ウイルスを運ぶこと」は同義ではない。

万が一、ウイルスに接した者が、

マスク・うがい・手洗いによって感染しなかったとしても、

知らないうちに別の物体や人間にウイルスをばらまいている可能性がある。

大勢の人間の移動があれば、これはどんどん拡大するであろう。


日本政府やメディアは、パニックが起きることを恐れる余り、

国民に安心感を持たせすぎていると思えてならない。


麻生総理は「水際対策」を強調しているが、はたしてこれは可能なのか?

昨日だけで、成田空港から4万6千人が海外に出国したとか、

関西空港からは1万9千人が出国したとか、報道されていますね。

昨日の段階で既に検疫漏れが1便150人出たようですから、

連休後半の帰国ラッシュの中で、どうやって対処するんでしょうかね。

どんな混乱の中でも一人残らず検疫をチェックできるのか?

この連休ででかけて行く人たちは、検疫に時間がかかって進まない場合、

何時間も足止めを食らっても、文句一つ言わず、おとなしく待てるのか?

甚だ疑問です。



それから、「冷静な判断」については、

環境問題を中心に「地球市民」という言葉が使われるようになって久しいけれど、

今回、仕事は別として、観光目的や研修目的で海外に出て行く人たちは、

この「地球市民」とはほど遠いのではないか。


新型インフルエンザの感染状況などについての情報が不足する中で、

メキシコ以外の国でも危険がないという保証はまったくない。

そのような中で海外に旅行することについて、

2種類の考え方があると考えられる。


1つは、「心配はあるけれど、多分、大丈夫なんじゃないか

(自分だけは感染しないんじゃないか)と・・・」というもの。

よく街角や空港のインタビューがテレビで流れていますね。

この「多分」という判断基準、どう考えても「冷静」ではなく、

「軽卒」だと思いますよ。理由は上で書いた通りです。


もう1つは、こちらはさすがにメディアに出てきませんが、

「あまり病毒性は強くないらしいから、自分一人ぐらい感染しても・・・」

というもので、あまりにも利己的で言語道断ですね。

でも、こちらのケースというのも少なからず存在するのではないか。


いずれにしても、全体のことよりも、自己都合を優先していて、

「大人」が「冷静」に判断したとは思えない。

海外に出て行く以上は、もっと、国際社会の一員としての自覚が欲しい。



今回、感染拡大の対策が甘かったり後手に回っている要因として、

「経済に与える影響」に対する配慮というのがあるようです。

これには大きな落とし穴がありますね。


WHOの緊急会議でも、メキシコとカナダの代表がこれを主張し、

フェーズ5に引き上げるのが1日遅れたわけですね。

しかし、よく考えてもらいたい。

事態が重く進行している中で、

取るべき対応が遅れるために感染が無駄に拡大することを考えると、

「迅速に慎重に対応したことによる経済的損失」よりも

「判断を誤り、対応が遅れて感染が拡大したことによる損失」

の方がはるかに大きく、危険なことであるのは明らかです。

メキシコの周辺諸国は早々に直行便をすべてストップさせ、

メキシコからの入国を制限しましたね。正解だと思います。

100年に1度の経済危機というのはもちろんわかっていますよ。

それでも、経済危機からの脱出が少し遅れるのか、それとも、

さらなる危機に落ち込んでしまうのか、その境目かもしません。

それも、今後の詳しい情報・分析を待たないとわからないわけですが。


そういえば、蛇足になるかもしれませんが、

石破農水相の豚肉についての安全性の説明もお粗末でしたね。

あたかも、流通の段階では既に殺菌が済んでいて安全であるかのような説明。

「従来から豚肉は十分に加熱しないと食中毒の危険があるわけですが、

これからは今まで以上に十分な加熱処理に気をつけましょう。」と

言うべきではなかったのか。

メキシコ産の豚肉の輸入を即時停止した中国の方がずっと徹底しています。

あの国はSARSの時の教訓が生きていますね。



とにもかくにも、これが杞憂であることを願うのみです。

ここまでおつきあいいただいた方、ありがとうございました。

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